「おいっ、早く車を出せ」
「………」
「二度も同じ事を言わせんな」
「………」
「おいっ!!聞いてるのか?」
私の顔色なんてお構いなしの俺様男は
事もあろうか、私に運転しろと指図して来た。
ラブラブな時間は2人でゆっくり過ごせばいいじゃない!!
何で私まで巻き込む訳?
そもそも、彼女が出来たなら出来たって
ハッキリ言えばいいじゃない!!
そしたら、私だって、
こんな可笑しな仕事から解放されるのに!!
理不尽な状況に苛立ちを隠せない。
だからといって言い返す勇気も無い。
魔王にはむかう勇気も
会社ロビーで事を荒立てる勇気も私にはない。
いつでもどこでも平和主義者。
余程の事が無い限り、武術を遣う事だってしない。
だからこそ、納得いかない!!
私には最初から成す術がないって事じゃない!!
いいわよ、いいわよ!
そっちがそう来るなら、こっちだって……!!
世界の御影の御曹司とやら選んだ小娘、
しかも『超』が付くほどの女嫌いの俺様男を射止めた女。
新聞の一面を飾る前に見届けてやろうじゃないの!!
私は半ば自暴自棄になりながら、運転席に乗り込んだ。



