専務室の扉の前で深呼吸。
横目に隣りにいる彼女に視線を移すと、
鞄の中からコンパクトミラーを取り出し、
何やら入念にチェックしている。
こういう女の子らしい仕草、久しくしてないなぁ。
内心、ちょっと嫉みながらドアを2回ノックした。
―――――コンコンッ
「はい」
中から、いつもながらのテールボイスが聞こえて来た。
当然、隣りにいる彼女にも聞こえた訳で、
素早く鏡を鞄に収めるあたり、微笑ましい。
軽く気を引き締め直し、ドアを開けた。
「失礼致し「京夜さぁ~ん!!」
………えっ? 何なの? この人。
静かに扉を開けたと同時に、
私の腕を物凄い勢いで払い退け、
ドアの隙間に身体を捻じ込ませるように入室した。
それも、別人と思う程、猫撫で声で。
唖然とした私は一瞬硬直してしまい、
出遅れた形になってしまった。
彼女の後をすぐさま追うと、
「えっ?!」



