―――――コンコンッ


「入りなさい」

「失礼致します」


私は本部長室のドアを潜った。

本部長は1冊のファイルを手に

ソファにどっしりと座っている。


「警備管理部の松波です」

「座りたまえ」


本部長は私をソファに促した。


「失礼致します」


私は極限の緊張と共にソファへ。



「そんなに緊張しなくてもいい」

「……はい」


緊張しなくていいと言われてもそれは無理。

本部長だなんて、入社式と特別の行事以外見た事すら無い。

私は瞬きも出来ず、硬直していた。



すると――――、


「君は優成(ゆうせい)の娘だったな?」

「はい?」

「松波優成……私の古くからの親友だ」

「えぇえぇ!!??」

「優成から黙っていてくれと頼まれたんでな…」

「………」


開いた口が塞がらない。