「………ん、無い」
「本当に?」
「ん」
「では、私にも望みはあるって事ですよね?」
「へっ?」
「私、昔から京夜さんの事、凄く好きだったので……」
「えっ?」
彼女は明るい笑顔で肩を竦めた。
膝の上でハンカチをギュッと握りしめ、
緊張していたのか、大きく深呼吸している。
けれど、胸の奥で何かが引っかかる。
俺の事が『好き』?
それも、昔からと言っている。
俺の知っている『あの子』は常に凛としていて、
俺には全然興味すら無い感じだった。
周りの女の子達と交友関係を築く感じでは無かったし、
次から次へと言葉を紡ぐ感じでも無かった。
イメージ通りの淑やかな感じで口数は少なく、
周りに振り回される感じでも無く、
『自然』が好きで、俺より景色を眺めていた。
年月が経ったとはいえ、
性格そのものがこうも変わるだろうか?



