目的地に近い交差点の信号待ちで
俺はルーフの開閉ボタンを押した。
突如、モーター音と共にフールが後ろから現れた事に
挙動不審になる松波が意外にも面白い。
「初めてか?……こういう車」
「はい……勿論です」
「フッ、だよな」
「……この車、勿論、京夜様のですよね?」
「あぁ」
「一体、どこにあったのですか?」
「地下駐車場だけど?」
「それって、バイクがある、あそこ?」
「あぁ」
この車があった事に気付かなかったらしい。
まぁ、普段はシートが被ってるから分かり辛いか。
ルーフを閉めた事により、車外音が切断され
一層静まり返る車内。
お互いの息遣いが妙に響く。
「先に言っておく」
「………はい」
「いいか、お前がこの車から降りた瞬間、お前は俺の『特別な女』だと認識される」
「へ?」
「………未だかつて、俺が自ら運転して登場した事が無いからだ」
「?!」
「だから、いいアピールになるだろう。お前が………『特別』だと」
「………」
ゴクリと喉元を揺らす松波。
緊張のせいか、顔が引き攣り始めた。



