ショップを出て、蔓薔薇のアーチをくぐっていた俺ら。
足下に続く石畳が妙に俺らの行く手を阻んでいた。
履き慣れないというヒールと
歩き慣れないという俺の理由が一致した結果、
――――――俺は奴を抱える事にした。
とは言え、小柄でない上、
決して華奢でもない松波を
ドラマや映画に出て来るような
『お姫様だっこ』など、出来る筈も無く。
俺は松波を肩に担ぎ、愛車まで黙々と歩いた。
駐車場に到着した俺は、
「乗れ」
「………」
一言だけ発し、運転席に乗り込むと
何故か、立ち尽くしている松波。
「貴様、俺にドアを開けろとか言うんじゃねぇよな?」
「えっ、あ、違います」
「じゃあ、何故乗らない」
「あっ、あの……」
俺の愛車『ケーニグセグ CCXR Edition』
最高級のスポーツカーとも言われている。
世の男どもはフェラーリ好きが多いが、
俺からしたらそれは大衆車に過ぎない。
乗るならやはり希少価値で無いと。
そんな愛車に乗せてやるというのに……。



