「おいっ、もうちょっと早く歩けねぇのかよ」
「え、あっ、すみません。こんな高いヒール、履いた事なくて…」
「チッ、ったく、面倒臭ぇなぁ」
「す、すみません」
無理やり手を引き歩き出したまではいいが、
千鳥足みたいにヨレヨレと歩く松波。
逃走しそうにないから安心出来るが、
女に歩幅を合わせた事が無い俺にとって苦痛でしかない。
松波は、俺が用意したオフホワイトのドレスを身に纏い
奴が言うようにかなり高めのヒールを履いている。
あの日、LISSEの店員に俺はこう告げた。
『コイツの双子の姉にパーティー衣装を用意したい。背格好はそっくりだから、見合う最高のドレスを用意してくれ』
デザインや色などは全てショップに任せたが、
さすが、御影が贔屓にしているだけの事はある。
サイズもさる事ながら、色やデザインも合っている。
自宅から松波自身に持たせた箱の中身がコレだった。
本人は俺の衣装とばかり思っていただろう。
まぁ、それも計算のうちなのだが。



