「いただきます」


初日くらい言ってやってもいいよな。

俺は小さく呟いた。


すると、



「お口に合いますでしょうか?」


心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

俺はそっとチキンソテーに手をつけた。



「んッ?!……旨いな」

「ホントですか?!はぁ~良かったぁ~」

「ッ!!」



……何だ?!今の笑顔??!


女みたいな顏しやがって…。

不覚にも“可愛い”とか思ってしまった。


どうかしてる。

俺、コイツに振り回されてる?



「いただきます」



俺の正面で食べ始めた松波。


箸を持つ手が視界に入った。

……ん?

女っぽい手をしてる。

男にしては小さくねぇか?



「なぁ、手、出してみろ」

「え?手ですか?」



松波は何も疑う事無く、

スッと俺の目の前に手を差し出した。