玄関の閉まる音を聞き、
満面の笑みでソファに腰を下ろす。
恐らく、奴は猛ダッシュでエレベーターに乗った事だろう。
それを想像しただけで、今にも腹がよじれそうだ。
先程、奴が淹れてくれた珈琲を口にし、一服。
ノートパソコンを開き、メールと株価をチェックする事に。
小一時間ほどして、ゆっくりと腰を上げた。
さて、俺も出掛ける準備をしないとな。
だが、松波が居ないだけでこんなにも違うものか?
室内が静まり返り、
どこか、まの抜けた感じがしてならない。
居ないと淋しいとか、そんなものではないんだが
何ていうか、こう…………
あるモノがないと、落ち着かないというか……。
気でも狂ったか?………俺。
たった数週間一緒に居るというだけで……。
胸の奥がモヤモヤして、気分が悪い。
早い所、休日を謳歌しに行かないと。
そんな事を1人ブツブツ呟きながら、
俺は軽い足取りで身支度を始めた。



