そっと触れる事さえ躊躇わせるほど。
ダークカラーのスーツが5着。
どれも洗練されたデザイン。
スタッフが1着ずつ、京夜様に差し出すと
渋々の表情でジャケットを羽織っている。
ん?
思っていたより、大丈夫そうじゃない?
とりわけ、拒否するような仕草も見せないし。
お母様が言うほど大変じゃないかも。
店内の商品を見ようと、
歩き出した、その時―――――、
「おい、松波」
「!? はっ、はい!!」
テールボイスが耳に響く。
慌てて、京夜様へ視線を移すと
「どこへ行く気だ?」
「へ?あっ、いえ、店内の商品を少し見ようかと思っただけです」
「ふぅ~~ん」
蔑んだような視線を浴びせながら
挑発するかのように、
人差し指をクイクイッと曲げて
………私を呼んでいる。
なっ、何?!
もしかして、私、また地雷を踏んだ??



