そりゃあ、女性嫌いだから反応するのかもしれないけど。

私は男性を起こした事すら無いのに。

それを甘く囁くだなんて……。

無理にも程がある。


「あの…最後に一つだけ伺っても宜しいですか?」

「えぇ、何かしら?」

「私がクビになったら…」

「それは無いから大丈夫」

「どうしてですか?」

「ウフフッ。京夜には、貴女をクビにしたら親が決めた相手と結婚すると約束させたから」

「えっ?!」

「だから、絶対クビにはしないわ。あの子、女性嫌いですもの」


にこやかに微笑む社長夫人。

何だか、息子のこの状況を楽しんでる?

まぁ、親からしてみれば…

そろそろ、仕事も結婚も落ち着いて欲しい歳だろうけど。


はぁぁぁ~~大丈夫かなぁ……私。

男の人と1つ屋根の下。

しかも男装して、本物の男性の目を欺くなんて。

私に出来るのだろうか?


「奥様、そろそろお時間です」

「分かったわ。では、希和さん。宜しくね?」



護衛の人と共に

社長夫人は颯爽と帰って行った。