目の前に大きな壁がそびえ立つ……そんな状態。
突然の彼の行動に気が動転している新垣さん。
私の腕をギュッと掴んだまま、硬直した。
「おい、お前、いつまでそうしてるつもりだ?」
「えっ?」
頭上から冷ややかな声が降って来る。
そして、恐らく……
レーザービームのような冷視線が
彼女の眼光に鋭く突き刺さっているハズ。
私は状況が状況なだけに恐ろしくて、
瞳を固くギュッと閉じて…虫の息。
すると、
「えっと……その……あのっ……」
「ん?」
新垣さんの可愛らしい声音と共に
掴まれていた片腕が急に解放された。
彼女の声のトーンに違和感を覚え、
ふと目を開け彼女を見ると…。
彼女の瞳は京夜様に釘付け!
………そう、ハートの瞳で。
なるほどねぇ……そりゃあそうよね。
男装している偽男子より、
正真正銘の美男子の方が良いに決まってる。
それに、京夜様の外見は文句無しのパーフェクトだし。
一先ず、片方の拘束から解放され、
ホッと安堵した……次の瞬間!!



