「あの……」
澄んだ女性の声が背後からして来て
石島先輩と共に視線を向けた。
「あの、警備管理部はこちらでしょうか?」
「「……はい」」
部屋の入口には上品なスーツを着こなした淑女が。
警備会社の事務所にお客様?
私はその女性を見て、ハッとした。
御影グループの社長夫人?!
少し後ろに護衛の方と思われる男性が2人。
私は慌てて石島先輩から手を離した。
「もしかして、松波希和さん?」
「……はい」
「私、京夜の母です」
……やっぱり!!
でも、何故…母と名乗るの?
あっ!!そうか、これは極秘の任務。
石島先輩には知られてはダメなんだった。
危なかった…私、もう少しで喋る所だったよ。
私は苦笑しながら会釈した。
石島先輩は不思議そうにしている。



