テレビで式年遷宮の特番(2012年3月頃)をやってて、内宮が天照大神、外宮が豊受大神(とようけおおみかみ)が祭神でなんてやってて、この外宮の豊受大神というのが、中世になると注目される神様になる。
 ようは、内宮に荒木田氏、外宮に渡会(わたらい)氏が神職として存在していて、その氏族同士のパワー・ポリティクスとして神様の格というのが注目されるようになる。
 記紀神話にはトヨウケビメという神様は出てくるんだけど「豊受大神」という神様は出てこない。そこには外宮の祭神の変成が隠されている。
「大神」のこの「大」をつけること、「大」を「太」に変えることは神様の格に直結していて、その正統性を担保することは、新たな神話の生産を意味する。
 伊勢神宮というと、どうしても伊勢神道的な『神道五部書』に代表される仏教色を忌避(きひ)した神話体系と思われがちだが、両部神道的な仏教の中でも真言密教と習合した神話体系も伊勢には存在する。
 両部神道で語られる伊勢は内宮と外宮を、それぞれ胎蔵界大日如来、金剛界大日如来に配当する。密教では金胎不二という教義がある、金剛界と胎蔵界は2つのものでありながら自ずと1つのものに収れんする、つまりとりもなおさず、内宮と外宮が対等かつ1つのものであるという認識が存在するのだ。