いちやが泣いていた。 10年以上見ることのなかったいちやの涙。 「…死ぬな……………ゆり…」 わたしの目は大きく見開いた。 ねえいちや。 どんな夢を見ているの? ねえいちや。 ゆりがあと 少ししか生きられないこと 知ってるの? 右の瞳から一粒の涙が落ちた。 そして わたしは小さく呟いた。