だだっ広い公園の丘の上に立つ一本の桜の木の下で、桜の花びらに身を包まれながらされた結婚の約束。


当時、同級生であり彼氏だった翔太は、まだ十歳だった。

でもその約束は真剣そのもので、大人がする約束となんら変わらないものだと思っていた。

まだ若かった私達は、二十歳になる事が大人になる事だと思っていたんだ。

グッと差し出された翔太の手には、可愛らしい小さな四つ葉のクローバーが握りしめられていた。


「これ…私に?」


泥だらけになった顔や手が、ものすごく一生懸命になって探してくれた事を物語っている。


「うん」


一つ頷いた翔太は、ギュッと四つ葉のクローバーを私に押し付けてきた。

すごく嬉しかった反面、思春期真っ盛りの私は素直に喜ぶ事が出来ずにいたんだ。

すると、翔太はポケットからゴソゴソと何かを取り出した。