『安西姫時が、二人存在してはいけないでしょう?』 “確かに……いけません。しかし、貴女にはご両親が……” 言いにくそうにいう白蘭さん。 私は瞳を伏せ、そしてゆっくりと開いた。 『だからこそ……私は両親達の記憶から消えなきゃいけない』 優しい両親は、私が行方不明になったと知れば 必死に探してくれると思う。 見つかるはずのない私を探していれば。心身ともにボロボロになってしまうだろう……。