“姫時さん??” 不安そうに彼女が私の顔を覗き込む 『……白蘭さん』 俯いていた私は、顔を上げて彼女を見上げた。 ここでこの扉を開いて前に進まなければ たぶん、あの平和な平成に帰ることはもうできない。 優しい両親にも友達にも……。二度と会うことはない。 ――それでも 『私は、この時代に置いて行ってはいけないものができてしまったようなんです』