『本当は、すぐにでも会いに来たかったんだけど。 この時代のこと右も左も知らなかったし……文を送ろうにも字が書けなかったから』 「そうか……よく、今まで無事でいてくれた。姫時、会いたかったぞ」 私の話を聞くと一君は、 薄っすらと微笑みながら 私の頭に手を乗せ優しく撫でる。 心地よい。 ―――スッ 「そうか。君は斎藤君と総司の恩人なのだな」 心地よさに目を細めていると 襖が静かに開き大柄で、優しそうな男の人が入ってきた。