でも、そんなとこも―…なんかかわいい。


千代留(ちよどめ)さん。惚れた腫れたで足掻くことはしないけど、おれの好きな人。


「片平くんは部活ですか?」

「……っス。千代留さんは?」


千代留さんは少し驚いたような目をした。「おれ、何か…」と問えば、いいえ、とかぶりを振った。


「ちゃんとした名字で呼ばれたの、久しぶりなもので」

「あぁ、千代さんとかが多いから」


ちよどめ、という響きは馴染みがなくて珍しい。大概が『ちよさん』や『ちよちゃん』と呼んでいる。


おれにはそんな勇気はないし、一方的とはいえ、気恥ずかしい。