クリスマスのキセキ




緊張が解けたのか、一瞬にして足の力が抜ける。




そのまま地面に座りこんでしまった。




「おい…!
大丈夫か!?」




「は…い」




イルミの光で影になって顔はよく見えないけど、声でわかった。




何で…伊波さんが…。




「ほら、掴まれ」




差しだされた手を、恐る恐る掴んだ。




するとゆっくり立たされ、ベンチに座らせてくれた。



「…今のが、あんたの気になる奴?」




「違…います…」




私が気になる人は、伊波さんです。




「違うのか…。
大丈夫か?
怪我とかしてないか?」




いつも…といってもまだ3回しか会ってないけど、酷く今日の伊波さんは何か焦っていた。




「大丈夫です。
ありがとうございました。
それより…何で伊波さんこんな所にいるんですか?」



彼女とクリスマスを過ごしてるんじゃ…




「…会えると思ったんだ。
あんたに…」




「え?」




伊波さんを見ると、赤くなった顔を手で隠していた。



「で、でも伊波さん、彼女といるはずじゃ…」




「…あのな、あの時もそうだが、あんた何か勘違いしてんぞ」




「勘…違い?」




「俺に彼女はいない」




え、でもあの時も腕くんで女の人と一瞬に歩いてましたよね?




絶対あれは見間違えじゃないと思うんだけど…。




「あの…私と会う日の昼間、女の人と歩いてませんでしたか…?」




「え?」




もしかして、ホントに私の見間違い?




「…あー、姉貴か」




「お、お姉さん?」




「あぁ、ちょっと姉貴の用事で買い物に付き合わされてたんだ。
ブラコンなのがたまにキズなんだが…」




ブラコン…お姉さん…。




そっか。




あれはお姉さんで、彼女じゃなかったんだ。




とんだ思い違いを…。




でも良かった…。




それって、まだ私にも可能性あるってことだよね?




息苦しかった胸は、もう治っていた。




「伊波さん、ごめんなさい。
私早とちりをしていたみたいで…」




「いや…。
…つまり姉貴のこと、彼女だと思ってショック受けて泣いてたのか?」




「え!?
違っ…」




あー、どうしよう…。




このまま言っちゃおうかな…。




でもまた気まずくなるのは嫌だし…。




「…違いますよ」




結局私は伊波さんに気持ちを伝えることができなかった。




ま、もう少し時間をかけてから告白しよう。




がんばろ…。