クリスマスのキセキ




噴水の石の所に腰を下ろして深いため息をもらした。



こんなにしんどくなるなら、伊波さんにあんなこと言わなければよかった。




会いたいなんて、言わなければよかった。




…謝りたい。




一言だけでも伊波さんに謝りたい。




会いたいよ…。




「…あれ、水樹?」




ふと顔を上げると、そこにいたのは伊波さん…じゃなくて、他の人がいた。




しかも…




「久しぶり。
元気してたか?」




「う、うん…」




北海道に引っ越したはずの、私の初恋の木村くんだった。




何でここに…。




しかもこのタイミングって…最悪だ…。




「…大丈夫か?」




「うん…」




私がうつ向いていたせいか、木村くんは心配してくれた。




昔の私だったら、木村くんと話せてるだけでもすごく嬉しかったのに…。




今の私は川に生えた苔のように心も動かない。




「てか、雪降ってるし、寒いし…北海道ほどでもないけど…、今日クリスマスだし、こんな所で何してんの?
もしかして彼氏待ち?」




「違う…」




ていうか、知らぬ間にフラれてたっていうか、失恋してたし…。




「じゃ、友達待ち?」




「違う」




私の友達の里津は今、彼氏とラブラブしてます…。




「…1人?」




「……」




「無言ってことは、1人なんだ?」




「違う…」




家で母さんと父さんが待って…くれてるのかな?




いや、きっと待ってくれてるはず。




「帰んないの?」




「……」




帰りたい。




寒いし雪積もってくるし、手冷たいし、早く帰りたいよ…。




でも帰れない。




体が動かない。




きっと…心のどこかでこの噴水の場所にいれば、伊波さんに会えるって思ってるんだ…。




だから動かないんだ。




「俺が一緒にいてやろうか?」




「え?」




そう言われるかいなか、私は腕を引っ張られた。




その勢いで一歩前へ進んで立ち上がる。




「ちょっ…!
どこ行くの!?」




「ラブホ」




「…はぁ?」