涙が出そうだったけど、ぐっと耐えた。

卒業式は今からなんだ。

わたしは二人に見送られ会場に向かう。


そのとき…

(澪ちゃん)

たしかに聞こえた。

あのころ何度も電話で聞いた、

優しく暖かい声。

わたしは振り返った。


そこに見えたんだ。

車椅子から降りて、ちゃんと立って…

笑顔で手を振っているあなたの姿が。

誕生日のときに指切りした、
あの約束を覚えててくれたんだね。

はじめて…
一緒に同じキャンパスに立てたんだよ。


笙さん、

夢は、叶うんだよね。


(…またきっと会えるよ)

わたしは小さく頷いて、

会場に歩きだした。