君に出会わなければ…





「私の話ししてないなんて思わなかったから。この機会逃したらあなた話さないでしょ。」


腰に手をあてて、困った子ねという感じで溝口を見る高城先生。


「相変わらずいい性格してますね。」


「おかげさまで。準備出来たからいきましょ、茉莉ちゃん。」


先生は溝口の皮肉を軽くあしらって、私に向き直った。



「はい。」



本を溝口に渡して先生に着いていくと、昔は年に1回訪れていた検査室に着いた。


「これに着替えてきて。」



そう言って渡されたのは半袖半ズボンのジャージ。


言われた通りに、指定された場所で着替えてから戻ると、待合室にいるはずの溝口がそこにいた。



「相変わらず茉莉ちゃんは何を着ても良く似合うわね。」


感心したように言う高城先生。


その横で呆れたように先生を見る溝口。


やっぱりこの2人お似合いだ。


こんな顔、溝口にさせられるのはこの人しかいない。



「なにを笑ってらっしゃるんですか?」



私はいつの間、気づかぬうちに笑っていたらしい。


溝口に言われて知った。



「あなたの顔がおもしろかったんじゃない?」


そう言って、わざとらしく、でもかわいく首をかしげる高城先生。