君に出会わなければ…







そう言うと、後藤さんはポカーンとしたままだった顔が一気に泣き顔に変わり、お礼を連呼しながら溝口に連れられて、木村さん達のところへ行った。






「これでこの家の中でのヒエラルキーが無くなるといいんだがな。」





そうお父様が言うと、お母様は私の頭を撫でながら、「ごめんなさいね、今まで。」と言った。





「後藤さんがどんなことをしてきたのか、溝口から話を聞くまでしらなかったの。



まさか、あなたにまで危害を加えていたなんて知らなくて。」





これは本当のことだろう。





後藤さんのやり口は巧妙だし、お母様は超が付く天然だし。





「お父さんに叱られちゃったわ。



家の事は私に任されてるのに何で知らなかったんだって。」





そう言ってお父様を見るお母様。





もう怒っていない様子のお父様だが、怒ると結構怖いこの人。




お母様に向かってはそんな怒っていないんだろうけど、きっと怖かったろう。





「私は別に。木村さん達の方が。」