「大体、いつも来るのが突然すぎよ。
来るなら前もって連絡してもらわないと」
「ごめん、ごめん。
でも、可愛い妹の顔が見たくなっちゃってねー」
「妹?」
俺が思わず反応すると、エリック王子が俺の方を見た。
「あ、もしかして君が噂のイケメンバーテンダー?」
「え?あ……えーっと……」
「エリック。
リオンを困らせないで」
「はいはい。
俺はエリック・キャンベル。
こう見えても王子様やってます!
よろしく」
エリック様が俺に手を差し出してきた。
「初めまして、エリック様。
リオン・アルバートと言います」
俺も手を伸ばし、エリック様と握手を交わす。
「そんな堅苦しい挨拶はナシナシ。
俺のことはエリーって呼んでくれればいいから」
「え……エリー……?」
「エリックでいいわよ。
エリーなんて呼んでる人、誰もいないから」
「だからいつも言ってるじゃん。
エリーお兄ちゃんって呼んでいいよって」
「呼びたくないし……。
ていうか、お兄ちゃんじゃないし……」
カノンが呆れたような目でエリック様を見る。
「もー、素直じゃないな。カノンは。
これでも昔は可愛かったんだよ。
俺が泊まりに来た時なんか、怖い夢見て寝れないから一緒に寝てーって泣きついてきて。
ロイと一緒に三人で並んで寝たよな」
ニコニコ笑いながら話すエリック様。
「も、もう!
リオンの前でそんな昔の話しないで!」
ほんのり頬を赤くしながらエリック様に
怒るカノン。
そんなカノンを見て楽しそうに笑うエリック様。
仲良いんだ、この二人……。

