今日は土曜日

彼女が『カイシャ』というところに行かない日だ

僕と彼女がゆっくりと過ごせる至福の時間…

僕は彼女の膝の上に寝転がり、お腹の辺りをゆるゆると撫でてもらっていると…


ピンポーン


嫌な予感だ

彼女は僕を膝からひょいと下ろすと玄関へと向かう

暫くすると…

『お邪魔しまーす!』

奴だ

今、僕が最も疎ましく思う存在

『おっ?コタロー、元気にしてたか?』

お前が来るまではな

『コタロー、おいでおいで』

誰が行くか

『コタローって』

奴を120%無視して、僕は彼女の方へと駆け寄る

もちろん、かわいく見える様に目一杯、尻尾を振り上目遣いで彼女に訴えかけるんだ

ねえ、こいつ追い出してよ…

けれど、願い虚しく大抵、奴は帰らないんだ