相変わらず、僕は奴の事が気に入らない

けれど、こうしてまた公園に来て幸せそうにドーナツを頬張る彼女を見ていると

まあ、いっか
と思えるようになっていた

『コタロー、お前またドーナツ欲しいのか?』

いらねーよ

『食いたいんだろ?』

だからいらねーって

『遠慮するなって、ほら、お手!』

くっそー!
パクっ



やはりドーナツは美味い

僕達の様子を見て彼女が笑う
クスクスと笑う
つられて奴も笑い出す

だから僕もついつい嬉しくなって、一生懸命に尻尾を振るんだ



だって、僕は犬だから…




『月とドーナツ』

fin