『コタロー、コタローッ』

おいおい、止めてくれよ

何で最後の最後にお前の声聞かなきゃいけないんだよ

気安く呼びやがって…

『ほら、水、水飲めって』

その声に漸く反応できた僕は、ひたすら水を飲んだ

ひとしきり水を飲むと、奴は僕をギュッと抱きしめた

『ごめん、コタロー。ずっと気になってたんだけど彼女の側を離れられなくて…だけど、もう大丈夫だ。心配するな』

僕は奴の顔をジッと見つめた

すると、通じたのか

『ああ、また彼女に会えるよ』

と言った

その言葉を聞いて僕は、奴の頬を舐めた

髭がザラザラして嫌だったけど、舐める事を止めなかった

僕なりの
犬なりの
愛情だ