それからの僕は明かりもない部屋で、とてつもなく長い時間を過ごしたんだ

奴が多目に置いてったご飯も水も、もうとっくに無かった

ああ、体が重いな…
思う様に動けないよ

喉もカラカラだ

暗い部屋にほんの少しだけ明かりがさし込む所があった

カーテンの隙間から、その明かりを見ると

丸いものが浮かんでいた

ああ、あれ知ってるよ
確か…月だ

何だ、月ってドーナツみたいだな

少し欠けてる
まるで彼女がかじったみたいだ…

その瞬間、考えない様にしていた彼女の笑顔が浮かんだ

途端に、体から力が抜けて、段々と視界も暗くなってきた

本当にもう彼女に会えないのかな

僕は会いたいよ
会いたくて会いたくて
仕方がないよ…

僕はそのまま、目を閉じた