その日、彼女は中々帰って来なかった

僕の嫌な予感は益々、強くなる一方だ

ウトウトするものの眠る事は出来なかった

やがて

カーテンの隙間から朝を告げる光が射し込み始めた頃、玄関の方で音がした

僕が急いで玄関に駆けていくと、そこに立っていたのはタクローだった

奴は僕を見ると、ペタンとその場に座り込み

『コタロー、ごめんなぁ…遅くなって』

いつもと違う声のトーンに、不安が益々募る

『そうだ、飯と水だな』

いらねーよ

『コタローの飯って確かこの辺りに…』

だから、いらねーって
それより彼女どうしたんだよ
何でいねぇんだよ

僕の思いが届いたのか、奴は僕を抱き上げると、ゆっくりと話し始めた