フライドチキンを両手にモリモリ食べていると、
隣のカップルに笑われた。
「ひーちゃん、汚さないように気をつけてな。」
「う、うん、何かごめんよ。」
お肉をモリモリ食べる女子高生と一緒の
席に居てきっと恥ずかしいだろうに。
「気にすんな、気にすんな。よく食べるのは
もう知ってから落ち着いて食えよな。」
ももっち、フォローをありがとうだす。
「ヒヨリンの食いっぷりはいつ見てみ
すげーよな。」
よっちゃんは恋する乙女ならぬ男子だね。
何も口に出来てないところを見ると、
人は恋すると食欲がなくなることが判明した。
そうか、だからあたしには恋することが
出来ないのだろうな。
「ところで、その彼女との出会いは
どういったシュチュエーションだったんだ?」
ポテトを頬張りながらオレンジジュースを
飲んでナフキンで手に付いた油を拭った。
「えっと、・・・文化祭の時。」
「はい!?」
文化祭の時だと!!
別に変わった様子なかったではないか。
それに、あたしの靴を捜索にしに行ってくれたはず
で、戻ってきてくれた靴を見てどれだけホッとした
ことだったのか。
「・・・って言ってもな、帰り際だったんだ。」
ボソりと控えめな口調で顔をポッと赤く染める
よっちゃんはどうみたって恋する・・男だ。
どうも、その彼女に出会ったのは文化祭の終わり。
キーホルダーを落としてしまった彼女のキーホルダー
を拾ってあげたのがきっかけだと言う。
小柄で可愛らしい声に守ってあげたくなるよな
雰囲気な可愛い女の子だとよっちゃんは語った。
「あ、あたしも小柄なんだが!!」
「ヒヨリンは何か違ぇんだよな。
あ、でも大事な友達ではあるからな!!」
ひ、酷過ぎやしないか?
あたしも生物学分類をすると可愛らしい女の子
に入るはずなんだけどな。
どうやら、彼らにあたしの魅力が伝わってないらしい。

