よっちゃんが、変なこと言うから手に汗
かいちゃったよ。
「千治さんたちのこと尊敬してんだ。」
「そ、そういうことね。って、えー!?」
それ、納得出来ませぬ。
よっちゃん、間違った方向に行ってるよ。
戻って来い、こっちの通行の方が安全だ。
「ヒヨリンは気付いてないか?」
よっちゃんの言葉にドキリと心臓が鳴った。
「気付くって何に?」
「あの人たち、不良だって散々恐れられてる
けど、俺には優しい人たちにしか見えねぇ。」
「そ、そうだね。」
よっちゃんがすごく尊敬してることはその前
からもよく知ってはいた。
「だけど、世の中そう甘いもんじゃないだろ?」
「よっちゃん、話逸れてない?」
でも、ちゃんと伝わってるよ。
よっちゃんが信じる熱い気持ちは十分伝わってる。
「ヒヨリンが来てからより一層雰囲気が良くなった。
俺にはどんなに頑張っても出来なかったことを、
ヒヨリンはやってのけるんだ。」
「そんなこと・・・ないよ。」
よっちゃんが居なかったらあたしだって・・
ちゃんと知ることなんて出来なかったよ。
みんな、みんな一生懸命生きている。
傷つけられても負けじと立ってる。
きっと、あたしには知らないみんなの
歴史があるように、あの中の誰もが欠けちゃ
ならないパズルのピースと同じなんだと思う。
「俺は、あの人たちに心底惚れてる。」
「それ言ったら、喜ぶと思うよ。」
ちぃ君はああ見えて感動すると鼻水啜るよ。
この前、感動の犬との再会をドラマチック
番組で放送されてたけど、鼻水啜って、馨
君に大量にティッシュ貰ってた。
「そうだといいけどな。」
「いいなじゃなくて、みんなのこと大事に思ってるよ。
よっちゃんだけじゃなくて、もっくんもももっちも
マーボも不良メンバーズみんなも。
そうじゃなきゃ、毎日あの部屋に集まって騒がないでしょ?」
大事なのは信じ合いだと思うのよ。

