よっちゃんの手が震えてポケットから出そうと
したケータイがすり抜けて地面に落下した。
「ちょっ、どうした美男!?」
「ひーちゃん、ビックリしすぎ。」
つい、美男と呼んでしまったではないの!
「ケータイ壊れんぞ?」
ももっちがよっちゃんのケータイを拾って、
よっちゃんに返すとよっちゃんは涙目になった。
「えっ!?」
「ど、どうすりゃいいんだ俺は!!」
い、いきなりどうした?
ケータイを持って訴えかけてくるよっちゃん
の悲痛の助けは受け取った。
「どうしたの?何か嫌なことされてんの?
ま、まさか、慶詩のヤツにパシリにされてんだったら
あたしが取っちめてやるわ!!」
あの、金髪ライオンならやり兼ねないわ。
人をコケに使いそうな傍若無人っぽい。
でも、そんなところ見てない。
「慶詩さんが何で?俺、別に嫌なことされてねぇよ。
慶詩さん、パシリにするような人じゃないぞ。」
その言葉に心底安堵した。
ヤツを敵に回したら厄介じゃないの。
絶対、伊織君が味方しちゃうんだから
あたしに勝算がなくなっちゃう。
「それに取っちめるってヒヨリンすげーこと
言うよな。そういうこと、あの人たちに言える
のはきっと世界でヒヨリンぐらいじゃないか?」
「えっΣ(゚д゚;)」
そんな大それたことなのかい?
ただ、母ちゃんが息子を叱るような気持ちだったけどね。
別に取っちめると言っても暴力に走るわけじゃないのよ。
「俺は、心底惚れてんだ。」
「何、急に!?あたしは、そのよっちゃんは
良いお友達として接してきたつもりなのだが!!」
驚いて腰抜かしそうなんですが?
「俺もそんなつもりないけど・・・」
だったら、紛らわしいこと言うんじゃないよ!
勘違いしちまうじゃないのよ。
ちょっと、恥ずかしい思いしちゃったじゃないか。
し、心底恥ずかしくて穴があったら入りたいよね。

