漫画って一瞬中身を見たけどどうやって読むのか
分からなくて断念した。
「ひーちゃん、力説してるところ悪いんだけど
美男のことはいいの?」
小説についての愛を語っていたらもっくんが
最もなことを言った。
「あっ!!ももっち、よっちゃんに動きは!?」
イカン、イカン、また自分の世界に入りすぎてた。
「ケータイばっかり見てんな。」
「何で、ケータイ?」
そんなにケータイ依存症だったのか!?
いつもは全然ケータイ見てないはずじゃない。
ゲームに集中するとケータイ放置して
学校に忘れたからついて来てと夜家に来た
よっちゃんにしょうがなくついて行ったこと
もあったような・・・。
何せ、ヘタレだから夜の学校行けないって
半べそかいてたのをよく覚えてる。
世話が焼けるというかなんというか。
「知らねぇけど、今日もずっとケータイ
ばっか見てため息吐いてた。」
「け、ケータイお化けに知らず襲われてんだ!!」
恐ろしい現代病と戦っているに違いない。
可哀想なよっちゃん、気付かない内に
げっそりしちゃって・・・。
ちょっと、痩せたような気もする。
「ケータイ、取り上げないと!!」
急いでよっちゃんにへばりつくケータイお化けを
悪霊退散して浄化しないとよっちゃんがお化け化して
うらめしやって・・・ひっ!!
「えっ、ひーちゃん。」
もっくんの呼びかけに振り返りながら、
ももっちの肩に置いていた手が何故か宙ぶらりんになった。
「うべべべっ」
階段から見事転げ落ちる始末だった。
それはもう夏の崖下りならぬ、階段下りを
トライしたと言ったぐあいだ。
「んっ、ヒヨリン!?っていうか、大怪我!!」
よっちゃんがハッとして両手を広げてくれたお陰で
下まで転げ落ちずに済んだ。
まさに、危機一髪といったところだ。
幸い、受身を取っていたから怪我はない。
掠り傷一つしてない奇跡の生還だ。

