だけど、逆にももっちのように差別のないような
接され方は嬉しいものがある。
そりゃ、もっくんのように気を使えたらもっと
高ポイント獲得だったと思うけど、打ち解けてる
証拠みたいな気がしてそれがいい。
「そんなんじゃ、彼女出来ないよ!」
「俺、遊んでるからいいの。」
「うわっ、出た。伊織君の真似か!!
駄目よ、伊織君を真似したらいつか刺されるぞ。」
ももっちは漫画を見ながらゲラゲラ笑ってる。
そして、あたしは心底心配している。
絶対、伊織君刺されるぞと。
この間、女の子が伊織君追いかけてるの見た。
あたしは恐ろしい執念を持った女の本性を
垣間見たのである。
ああいうレディーにだけはなりたくないと思っている。
「刺されるって伊織さんやべーのか?」
漫画から視線を移すももっち。
「そりゃ、もうあれは確実に伊織君を
仕留める目だったよね。」
「ひーちゃん、掲示板に張るプリントどれ?」
放課後のこのやりとりはよくある光景だ。
委員の仕事がある時は大抵手伝ってくれる。
いつもの部屋で待ってればいいよって言ってた
けど、よっちゃんが手伝うというのを筆頭に
それからはよく手伝ってくれるようになったのだが、
今日は珍しくよっちゃんを見つけられてない。
校舎の中で迷子にでもなったんだろうか?
ウチのNo.1ヘタレ王はよく騒ぎの中心に居る。
「これと、これ。」
画鋲ケースから画鋲を4つ取り出すともっくんに
差し出した。やはり、この身長は便利である。
もっくんぐらいとは言わないからもう少し
あたしにも身長欲しい。
せめて、黒板届くぐらいあったらさすがに文句ない。
「そういえば、よっちゃん居ないね?」
昨日もその一昨日もそういえば見かけてないような
気がするのは何故だろうか。
いつもは放課後ゲームしようぜと誘ってくれる
よっちゃんを思い浮かべると親離れされたような
気持ちで若干寂しさを感じる。

