鞄を拾ってくれたダンディーさん。

鞄を落とした時に一緒に落ちたのか生徒手帳が

転がっていてそれも一緒に拾ってくれたダンディーさん。

「えっ、君は星鈴に通ってるのかい?」

「はい?」

そして、ビックリした顔を魅せるダンディーさん。

「名前を聞いてもいいかな?」

「そこに書いてある通り、立花日和と申します。」

頭をぺこりと下げた。

「そうか、君が・・・」

うん?ダンディーさん、何者!?

あたしのこと知ってた?

まさかね、あたし初対面だよ。

「安心しなさい。俺は君のことをよく話に聞く。

それとも、俺が悪い人に見えるかい?」

「そういうわけじゃありませんが・・・」

悪い人に見えるわけない。

こんな美しいお方をそんなバチが当たるぜ。

「それなら、着いて来なさい。」

でも、兄ちゃんに弁当届けないとだし・・・。

馨君に怒られそうだし、慶詩に馬鹿にされそうな・・・。

「ただ、昼食に付き合ってくれればいいんだ。」

「えっと、少しだけなら・・・」

折角、こんなお美しい方に誘われてるし

滅多にないことだから貴重なこと。

危険はないと思う、この人抜けてるし

悪いことしそうじゃない。

自分を信じていざ昼食に付き合いましょう。

次のバス停に止まるとダンディーさんが

降りたからあたしも降りることにした。

に、兄ちゃん、ごめんよ。お弁当は

後できっと届けるからもう少し待っててね。

ダンディーさんの後ろをひょっこりと

着いて行く女子高生の図は世にも奇妙なものだろう。

せ、制服で来るべきじゃなかったか!

マフラーをぐるぐる巻きにして、

置いてかれないようにそれでもある程度の距離は

取りながら不安を募らせてダンディーさんに

着いていった。

気のせいか、ダンディーさんの周りには人が

寄らないような気がした。

心なしか、その背中が寂しそうに佇んでいた。