兄ちゃんのしょぼんとした落ち込んだ声が
耳に届くとあたしまでブルーになりそうだ。
『ひーちゃん!!それでも兄ちゃんはひーちゃん
を愛していると誓います。』
そんなこと誓われても弁当はあんたのとこに行かないよ。
そして、それを謎の彼女に言ってやれ。
兄ちゃん、彼女のこと放ったらかしにしてる疑惑だ。
全然そういう素振りがないし、まさか嘘ってことはないか?
兄ちゃんがただ勘違いしてるとかさ。
なんて、面倒な兄ちゃんを持ったんだろうか。
「今から行くから場所どこだっけ?」
さらにピクニック中の兄ちゃんのために届けて
あげる心優しいあたし。感謝ぐらいしてもらうぞ。
ジョセフィーヌにお留守番お願いして、制服にコート
を羽織ってマフラーを巻いて兄ちゃんの弁当を持って
家を出ると11時ぐらいでお弁当タイムに間に合うのか。
最寄りのバス停は少し歩いたところにあるからと
スニーカーを軽快にバス停へ急いだ。
しかし、何故こんな寒い時期にピクニックやろうって
ことになったのか?
普通ならば暖かくなった春とかに行くものじゃない?
きっと、兄ちゃんの思いつきに付き合わされてる
ことに違いないだろう。
全く、人騒がせな兄ちゃんだよ。
バス停に丁度来たバスに乗ると暖房が付いていて
暖かくなってきた。
マフラーを取って1人席に座れた。
音楽でも聞こうかな?そうだ、本を持ってきてた。
鞄から図書館借りた本を取り出して読書を始めた。
学校近いからバスとか電車とか乗らずに行ける
せいかバスは図書館や兄ちゃんの職場に行く時
以外全く使わないから新鮮な雰囲気だった。
中学の時はバスを使ってたな。
サユとよく2人で座れるところに座って
お喋りしながら学校に行ってたっけ?
最寄りのバス停から5個だから乗り過ごしちゃう
ことがあったんだよね。
お昼頃のせいか、あまり混んでる様子はなかった
バスがいつの間にか混雑していたのは本を熟読
して20分ぐらい経った頃だと思う。

