兄ちゃんは、手のかかる5歳児と一緒だ。

『兄ちゃん、テーブルの上に置いたお弁当

を忘れるとかお決まりのことしちゃう!?』

土曜日だというのに、その日は学校があった。

但し、あたしだけ呼び出しを食らったのだ。

この間受けた全国模試の結果が出たとかいう

から結果を取りに来いと悪魔一号称す相沢ティーチャー

に呼び出されて9時頃に学校に向かった。

その前に、今日は臨時出勤で兄ちゃんが

朝からお弁当作ってと急に言い出すから

急いで作ったはいいが彼はそのお弁当を

すっかり忘れてしまったのである。

今日は臨時出勤ならぬ職場の親睦会を兼ねて、

この時期にピクニックに行くとか。

一体、兄ちゃんはちゃんと仕事してるのか

未だに信じがたいけど、愛嬌ある性格なのか

もう後輩の子達には結構遊びに誘われてるとか。

あたしももっくんと葡萄狩りに行こうと言ってる。

そして、学校で結果を取りに行った。

「お前、病気なんじゃねぇの?」

初っ端から失礼なことを言ってくれる。

「うおっ、勉強してなかったけど・・・」

ちっとも勉強せずに模試を受けたからどんなに

酷い結果が来るのかと多少ビビってはいた。

「全国一位簡単に取りやがって。」

「いや、簡単に取ったつもりないぞ!」

「我が校始まって以来の異例の快挙だよ。」

副校長にすごいベタ褒めされた。

「いいえ、実力を図るために受けたものが

このような結果だっただけのことです。」

あら、物理の回答が間違ってたのね。

後でしっかり見直ししておかないとだわ。

と言う訳で、その帰りにキッチンのテーブル

に堂々と置いてあるあたしが作った兄ちゃんの弁当

が忘れられてるよ誰か気づけよと主張している

のを目撃してしまったのである。

そして、冒頭に戻るという訳だ。

『ひーちゃん、ごめんよ。俺としたことがミステイクだ!!』

「何がミステイクだよ!!手間のかかる兄ちゃんね。」

折角、ユウヤに付き合ってもらって行った本屋さんで

キャラ弁の本を入手して可愛く飾り付けた特性弁当

だったというのに、妹不幸な兄ちゃんだ。