何か嫌なことあったのかなと思った。
会った時少し元気無さそうだった。
多分、ユウヤは気付いてないと思うけど
あたしにはそう見えた。
不思議と分かるんだと思う。あたしもユウヤ
に会うまでは少し気分悪かった。
だから、人の心の変化に気付くことが出来た。
「ヒヨリン、大丈夫か?」
立ち止まったあたしを心配そうに見つめる
ユウヤにドキッとして何でもないよって
また歩き出した。
ユウヤが鈍感で良かったなと思いながら、
伊織君とか馨君にだったら絶対に鋭い勘を
持ってそうで・・・今思えばあたしは良く
バレずにきたと思う。
さすがに、ずっと傍に居たサユに感づかれる
のも覚悟の上だったけど、上手く嘘が吐けている。
この現状をキープして出来れば知られること
なく事無き終えたいところ。
卒業するまではあたしの自由にしたって、いつ
どのタイミングでこの生活に終止符を打たなくては
ならなくなるか分からない。
決して、ここから先は慎重にならないと全てが水の泡。
いくらだって、意地は張れる。
最後の最後まで意地の張り合いになるかもしれない。
伯父様、あれで頑固な人だからあたしも負けない。
これで、負けたらあたしは自分の決めたことを
遂行出来なかったことになる。
もう守ってもらうのはやめよう。自分の足で歩いて
前に立つ敵は全てなぎ倒す。
“あの人”が居なくなってもう2年が経つ。
春が来れば3年目って時間はどんどん積み重ねていく。
もう逢えないかもしれない。
どこで何をしているのか分からない人。
でも、あたしにはかけがえのない人。
空気と同じような人で春の季節が似合う温かい人。
あたしが強くなろうと思わせてくれた。
大事なモノをたくさん貰った。
だから、今度こそは本当に強くなりたい。
誰かに守ってもらうような女の子にはもうなりたくない。

