あたしは本当に恵まれた環境に居た。

みんなと歩んできた道は違えど、今なら少し

ぐらい守ってあげられる存在になれる。

口だけじゃなくて、みんなを辛い思いさせたり

傷つけるような大人から何もかもを払いのける

そんなお役目を買って出るよ。

「あたしが全部吹き飛ばしてあげる。

こう見えて、あたし学校で一目されてんだよ。」

「だから、ヒヨリンには参る。」

「えっ、別に参らなくていいよ!」

「この前、副校長の下駄箱に人参置いてなかった?」

「な、何を言ってる!?」

ば、バレてたのか!!

人参が好きだと言っていたから下駄箱に入れたんだ。

そんなことがバレていたとは気付かなかった。

こっそり入れたつもりではいたんだけどな。

ちゃんと、忍び足で忍者のように頑張ったよ。

「あれ、嫌がらせかと思ったけど・・人参って」

「相沢ティーチャーから仕入れたネタだ。

人参が好きだと言うから朝から鞄に忍び込ませて

放課後にこっそり置いてきたんだ。」

「そういうことするのヒヨリンぐらいだろうな。」

ガハッと笑うユウヤは爽やかに靡く髪が

サワサワしていて暗くなった空の下茶色い髪が

気持ちよさそうに風になびいた。

「誰かが味方で居てくれるってスゲーことだって思う。

それをヒヨリンならやってのけてくれそうな気がして、

例えば世間の人が全員敵になってもヒヨリンだったら

何とかしてくれるような気さえするんだ。」

「あたし、そんなビッゲストじゃないよ?」

「体は小さくとも心は寛大なんだろ?」

よ、よく覚えてるな。

「でも、信じては居るかな。

みんなと過ごした日々は楽しい思い出ばっかりだから、

あたしはそれを信じたい。例え、何があってもあたしは

ずっと味方で居るよ。何かあったら絶対に駆けつける!」

それが友達ってもんでしょ?

7人の危機はあたしが見事にお助けマンとして

参上してあげようじゃないか。

だから、もう傷つかなくたっていいじゃん。

その分、あたしがちゃんと守ってあげる。