ユウヤが鼻を掻きながら自転車を持ち替えた。
「前にも言ったと思うけどよ。
ちぃーは誰よりも優しい奴だぜ。
それで、誰よりも温かい男だって言わなかったか?」
「ゆ、ユウヤだって温かい男でしょ?」
「俺には出来ないようなことするんだって。」
「度肝を抜いた行動取るよね?」
優しいのはみんな一緒じゃないか。
ユウヤだって優しいの知ってる。
「ちぃーは優しすぎんだよ。」
「そうかな?」
普通だと思うんだけどな。
確かに、怒ったりしないし不良に今や見えない。
マイペースで天然で寝てばっかりでたまに意味
不明な行動に出るかと思いきや甘いものをこよなく
愛する男だと思うけどさ、そういうことしか知らない。
「俺はちぃーに会ってなかったら今こんなふうに
過ごせてるはずなかったからな。」
「それってどういう意味?」
自転車のカラカラする音が虚しい。
「中学入る前に、嫌なことばっかりで
スゲームカついてさムシャクシャしてて
ガキの癖に馬鹿ばっかりしてよ。」
「ユウヤが?見えないね。」
ユウヤが荒れることなんてあるんだね?
「そん時、俺はちぃーに会って救われた。」
「ちぃ君に?」
それは、初めて聞いた彼らの内部事情だった。
「最初はスゲー甘党なヤツで意味不明だし、
こんなヤツ知るかよって思ってたんだけど、
ちぃー、スゲー優しいんだ。」
「そんなふうには見えないけど・・・」
「俺、馬鹿だからセンコーに呼ばれることも
よくあったし、先輩の絡んでる喧嘩に巻き込まれた
こともあってさ、死にそうになったことあんだよ。」
夕焼け色したお空から星がこんにちわする。
「し、死にそうに!?」
「喧嘩ってヤベーヤツとので・・」
そっか、不良だったんだ。
今更、驚くようなことを言ってるわけじゃないか。
ただ、今までそんなところに遭遇してなかっただけで
本当はそんな危ない世界の人達だった。

