その口調は間違いなく慶詩なんだろうけど、
この優しさはいくら取る気で居るんだろうか!?
テメェなんかにただでくれてやるわけねぇだろうが
とか言われたらど、ど、どうしたらいい!!
「っあー、マジでさみぃーなクソったれ。」
「す、すまん、すまんよ。」
この寒冷前線はあたしの影響かもしれん。
「んあー、んでテメェが謝んだ?」
「い、いや、何となくだ。」
人とあたしはどうやって接してただろうか?
それさえ、分からなくなってバッと慶詩から
勢いよく離れてズササササっと木陰に隠れた。
「何やってんだ、んな遊びは流行んねぇから
さっさと戻って来い。」
「・・・・・・・むっ、無理だ!」
出来るなら最初からこんなことをしてるかッ!!
急に分からなくなったとか可笑しいな。
さっきまで普通だったはずなんだけど、
意味分からないよ。
「あ?何だと?」
「・・・ほっとけ!戻ってクリスマスパーティー
の続きでもしてたらいいさね。」
「何ごちゃごちゃ言って・・・何かあったのかよ?」
あたし、意地を張るのは得意なんだ。
こんな時に張っても意味ないのにさ、
普通なら弱音吐いてさ泣いてとかあるかもしれない。
だけど、こういう時に限って意地が強くて
思ってもないこと言ってしまうんだ。
「んっ?何だよ~抜け組居ると思ったらそういう
関係だったのかよ~ん」
や、厄介な人物が乱入してきた!
しかも、煙草モクモクさせて今更来てもしょうがないよ。
な、何で、さっきのが伊織君じゃなかったんだよ。
駄目だ、このままじゃ八つ当たりして嫌われるのがオチだ。
今すぐ、逃げてやろうじゃないか。
折角、仲良くなれたのにこんなことで終わらせてたまるか!!
「どこに逃げる気でいんだよ。」
伊織君の登場に紛れて消える予定が、
すぐに慶詩の声に引っかかって足を止めた。
わ、分かんないよ。
どうしたらいいかなんてずっと考えてんだよ。
さっきからどうしたら普通で居られるんだって
考えても結論が出なくて逃げることしか考えつかない
あたしの浅はかさを呪いたいところだ。
元々、ポーカーフェイスなんだから気にすることなんてないのに。

