そんなわけで、マックを後にしたわけだが。
また担がれそうになって全力疾走して逃げた。
「日和ちゃん、逃げ足早いよね。」
「元々、足には自信があるからな。」
馨君は追いかけては来なかった。
本当に大したことなくて良かったよと言って、
笑みを浮かべるから心配をかけてしまい申し訳ない
ことをしたなと思った。
転んだのはあたしが招いた失態なわけで、そんなことを
気にする馨君はやっぱり心優しい紳士だと思えた。
「あー、さみーな。糞っ」
「薄着だからではないか?」
慶詩がガタガタ震えながら歩いてる。
そもそも、男性はあまり着込む方ではないのだろうか?
兄ちゃんは防寒・・・・してるか。
修平君もマフラーにダウンジャケット着てた。
人によって違うのだろうな。
「馬鹿は風邪をひかないそうだから大丈夫だろう。」
「テメェ、そりゃどういう意味だ」
「そのまんまの意味だが、今回は赤点ギリギリだった
そうじゃないか。何故、そのような点数が取れるのか
あたしには頑張っても無理だ。」
赤点なんて取ったことすらない。
勉強を嫌ったことが一度たりともないからな。
因みに最近はスペイン語と不良語またギャル語という
新たな履修内容が増えたわけでクルミちゃん講座が
たまに開かれたり・・・開かれなかったりだ。
「オメェ、それ嫌味か!?」
「いや、気持ちの共有が出来ないのは不便だなと。」
「うわー、頭の良い奴の考えることについてけねぇ。」
「つーか、意外と遠いもんだな~。」
家から駅までの道のりは意外とある。
だから、ダディが迎えに来てくれていたわけだ。
「駅前は人が多いからあまり行きたくなかった。」
元々、父さんや母さんが人の多い街の中心よりも
少し離れたところを好んでいたらしい。
自然のあるところの方が父さんも馴染みやすい
とかで商店街には近いが、駅からは比較的距離の
ある敷地を手に入れたんだと確かお兄ちゃんが言ってた。
だから、父さんはあの家を気に入ってる。
旅に出かけることが多い父さんも帰ってくるたび、
本当に幸せそうに笑うんだから見てるだけで分かる。
父さんにとって家は宝物のようなものだ。