しかし、待て。
あのマッチョをどうやって倒すべきだろうか?
もう1人はまだしもマッチョは期待に応えようと
する精神の持ち主がから想定範囲内でのシュミレーション
を考えておく必要があるぞ。
今にもナル君が殴りかかりそうな勢いだし、
あたしの必死なる止めで食い止めるのも時間の
問題のようである。
しょうがない、丁度捨てようと思ってたから
コレを使うとしようか。
ナル君の細い腕をマッチョがへし折りそうなほど
強く掴むのを見て防衛反応が働いたんだと思う。
勝手に持っていた女性雑誌を顔面に叩きつけていた。
さっき、街中で配っていたティッシュを受け取ろうと
したのに読み物だったのでイラっとしていた。
こんなに暗い中で配るものではないわと思って、
どこかゴミ箱がないかしらと探していたわけだが、
ゴミ箱を見つけ出す手間を取らずに済んだ。
「な、ナル君、今だ!」
「えっ、ひよっ」
ナル君の手をギュッと握って前に駆け出した。
逃げるが勝ちとはあたしの必勝法である。
無駄な争いごとをするほど暇でもない。
イルミネーションロードをバタバタ駆け出した
兄妹のようにでも見えているやもしれん。
※背丈的に周りにはカップルだと思われてます。
キラリと光る街路樹のイルミネーションに
心を躍らせながら素敵ロードを走ることに
なったのは勿体無くも思うもので今年を一文字で
表す漢字なんて言うのもあった気がする。
あたしの今年の一文字は間違いなく『走』だ。
思えば最初から走ってばかりの1年だったな。
とにかく、足腰が丈夫で何よりだと思う。
健康的にも飛躍した1年を過ごすことが出来たはず。
「あれ、日和ちゃん?」
「おー、何だ?仲良く走ちゃって元気だね~。」
馨君と伊織君を瞬時に追い越してしまっても、
走り出したあたしの足はブレーキが利かなかった。
「それでよ、あん時の美男のギャグが凍りつかせて
それにマジで笑ってよ。」
「ぎゃははははははっ、美男のセンスヤベっ」
お店を何件か過ぎたところに馬鹿笑いしてる慶詩と
ユウヤも素通りして加速する速度は緩むことを知らなかった。

