Hurly-Burly 4【完】


バイトが終わり、今まで短期間ではあったが

お世話になった店長夫婦と会話を交わした。

「日和ちゃんも紗友梨ちゃんも御苦労様。

すごく助かったよ。本当は続けて欲しいところ

だけど学業の方もあるからね。気が向いたら

いつでも遊びにおいで。」

本当に充実できた2週間を送らせてもらった。

きちんとお礼を言ってバイト先を後にした。

ロッカー室に向かって、制服に着替え直して

ため息を吐き出した。

「日和、父さんにはあたしから言っとくから。」

「えっ?」

「あの様子だと絶対にあんたのこと待ってるでしょ?」

だよね、恐ろしすぎて帰りたくない。

「晩御飯はあんたの家に持ってといてあげるから

あんまり遅くならないようにしなさいよ。」

まさに、サユはあたしのお姉ちゃんみたいだよ。

「うん、助かります。」

「はぁ~、あんたも大変ね。」

「いや、それほどでも。」

コートを来てサユと一緒に外に出るとキラキラと

星が夜空を照らし出していた。

「あ。」

お店を出てすぐに居るとは思わなかった。

「あんたたち、日和をあんまり遅くまで連れ出したら

駄目だからね。日和、風邪ひかないようにね。」

サユにマフラーをぐるぐる巻きに巻直された。

オドオドしながら歩を進めるとベシッとデコピン

攻撃をされて額を抑えながら顔を上げる。

「何してんだ、馬鹿。」

「ば、バイト・・・・・・」

「何で嘘吐いた?」

ち、ちぃ君に魔神が降臨してる!

「嘘ではないよ、資料集めはバッチリしていたもの!」

「じゃあ、何でバイトしてるって言わなかった?」

「それは、・・・・・ケーキ屋さんでバイトしてるって

言ったらちぃ君が目を輝かすのではないかと・・・」

「確かにそうだな。」

そら、見たことか!

やはり、あたしの選択は間違っていなかった。

「嘘吐いてないにしても黙ってたら傷つくよ。」

馨君がにっこりと微笑んで視線を落とした。

「ご、ごめんね、今後は気をつけるわ。

それにしても、最後の最後で見つかるとは思わなかったな。」

こういう偶然が何度も起きると不思議なものだ。

それは、まさに必然的に出会うようなものだった

みたいに思えてしまうんだから。