Hurly-Burly 4【完】


主婦のお客さんと談笑しながらケーキを販売して、

残りも少なくなったと思った時に事件は起こった。

「これ、下さい?」

「はい、包装はされますか?」

何か、聞き覚えのある声だなと思って顔を上げると、

「げっ!!」

可愛いナル君のお目々と数分見つめ合った。

「ヒヨリン!?」

目を丸くして驚くナル君にサーっと血の気が引く。

キョロキョロ後ろを見るとやっぱりだ。

「な、何故だ。あたしの変装はバッチリだったはず。」

伊達眼鏡に二つ結びのツインテールをしてる。

これがバイトスタイルに定着しつつあった。

「えっ、マジで何で?」

「みんなー、ヒヨリンが居るっ!!すんげー可愛い

制服着てる!!」

ナル君がパニックになって後ろに居たみんなを

呼び出すからあたしまでパニックになった。

「何してんだ、お前?」

ちぃ君、これには理由があるのよ!

「日和ちゃん、資料集めしてるんじゃなかったの?」

馨君、嘘は吐いてない。ちゃんと、資料集めも

していたから・・・・・・!

「・・・・・ひ、人違いだわ。」

「何誤魔化そうとしてんだ。」

実に、参ったわ。こんな最後の日にしくじるとは

予定外の障害物だわ。

「こ、これにはふ、深い事情と言うものが!」

「日和、袋取って・・・・あんたたちやっぱり

日和のストーカーなの?」

サユが袋を持って登場した。

「あれ、サユリンと一緒だったの?」

「う、うん・・・・・・・・・・」

まさかの事態発生にフリーズするところで、

サユがふんっと腰に手を当てた。

「日和に用でもあるなら後にしてよね。」

頼もしいサユのお陰でその場は凌げたものの、

仕事終わりが恐ろしくなってきた。

とくに最後に見た馨君のブラックスマイルが

残されて、ストーブがあるはずなのに寒気が

して顔面が凍りつくような時間を過ごした。