冷蔵庫からゴソゴソ漁って作ってきたケーキの箱

を取り出して並べてみた。

「張り切って食べてくれたまえ!」

「・・・・これ全部作ったの?」

「えへっ、こだわってたら気に入らなくて

まだ試作品程度だから本番に期待してくれ!」

「ひよこ、作りすぎ・・・・」

「お店のケーキみたいだな。」

「あれ、よっちゃんに人数集めてもらうように

言ったのだけど遅いわね。」

ちぃ君とナル君が目を輝かせている。

「今、フォークとお皿を持ってくる!」

「日和ちゃんって完璧主義者?」

馨君が椅子を並べるように指示する。

「えっ、まさか、確かにちょっと頑固なところは

あるけども、折角食べてもらうんだから美味しい物

食べて欲しいと思うもんではないか!」

それにしても、作りすぎたかもしれない。

「職人みたいだね。」

「そうかな?毎年、ケーキ作るのは楽しいから

凝りすぎてしまうのだけども・・・作りすぎたかな?」

「大丈夫だと思うよ、千治もナルも楽しみにしてた

みたいだから全部食べるよ。」

「そうだと思った!」

お皿の上にケーキを載せて配った。

「食べるの勿体無いっ」

「食べてくれないと腐るのでそっちの方が勿体無いかと・・・」

ナル君の目がキラキラ輝いてひと掬いして口に放り込んだ。

「うまっ!」

「おー、感動です!」

パクパク美味しいと言って食べてくれるのに感動した。

「日和ちゃんって器用だよね。これ、全部昨日のうちに?」

「うん、味見出来ないからちょっと心配してたけど、

分量的な計算は間違ってなかったようで安心だ。」

「ある意味、天才だね日和ちゃん。」

「えっ?そうだ、よっちゃんたちも呼んだんだけど、

放課後これを持って行ってくれると助かる。あんまり

日持ちしないし、今日の内に食べてしまうことをオススメする。」

お湯を沸かして持ってきたコーヒーも注いで、

ケーキのお供に付けておいた。

「気が利くじゃねーか。」

「甘いものばっかりではあたしが気持ち悪くなるからな。」

「自分のためか!?」

「半分はね、ブラックで飲む人?」

お昼休みの時間という少ない時間にしては有意義だった。

サユも一緒に来れば良かったのにクルミちゃんと彩乃

ちゃんとお昼に言ってしまったからな。