しかし、それ見たことか。

「ほら、立花さんの連絡には出てくれるかもしれないでしょ?」

「貴様だと出ないのか?」

※小声で言ってます。

「そうなのよ~、参ったね。次留年されると俺の肩書きに

傷が付いちゃうかもしれないでしょうよ。」

「自分が可愛いがために!?」

「いいから、早く電話しよっか?」

この茶髪メガネ!!

お前の肩書きなど知るか!!

と思いつつも、本気で留年させられたら困る。

職員室を出てケータイを手に廊下の窓を開ける。

出るか分からないのも緊張の一瞬なわけで、

電話帳の中から名前を見つけて発信ダイヤルした。

「も、もしもし?」

『ヒヨリン?どうした?』

何となく思い浮かんだのはナル君だった。

「いや、最近学校に来てないようだから

どうしたのかなって思いまして。」

『心配してくれたのか?』

「ええ、風邪でもひきましたか?

大丈夫なんでしょうか?」

『ふっ・・・』

ナル君の可愛い笑顔を思い出して癒されながらも、

窓から入り込んでくる冬の木枯らしが頬を掠めた。

「あ、あの、試作品明日持ってきますから味見

して貰いたいなと思っているのですが?」

『ケーキ!!』

「はい、明日持ってくるので絶対に来て下さいな。」

『行くっ!』

「寒いので、風邪をひかぬように気をつけて下さいね。

それでは、明日お会い出来ることを楽しみにしてます。」

『うんっ!明日行くからな。』

よしっ、明日は全員登校するだろうよ。

試作品、何個か作って持っていこうかな。

みんなに会うのは久しぶりになってしまうのか?

ケーキ屋さんのバイトだから少し本格的な

ケーキ作りの参考になって丁度良かった。

お店の店長さんもすごく優しいご夫婦だったし、

勉強になることが多くて本当にバイトして良かった。

お客さんとの触れ合いも最初はすごく緊張して、

発疹が出てきそうなほどだったけど今は少し慣れてきた。

少しずつ変わっていけてるのかな?

あたし自身が成長出来るように前に前進して行くんだ。

後先はまだ考えずに踏みしめてしっかりと自分の足で

立って見ていこう。