もしかしたら、面倒臭いなって思ってる?
早く可愛い子ちゃん来ねぇかなって思ってたりして!
すまないね、ちんちくりんがお傍を通過して。
「どこ行くんだよ~、あんまりそっち行くな。
引かれておにーさんのようになりてぇか?」
人1人分開けて歩道の方を歩くと伊織君が
やる気なさそうな声を出した。
「ほ、ほほ!あたしは巧みに避けられるのだ。」
「おー、そうかい、そうかい。」
気だるげに言葉を吐く伊織君を横目で
見ていると、コンビニに集っていた
中から親びんらしき人が前に出てきた。
「古河、お前ら警察にパクられたんだろ?」
ニタリと笑う男の顔が気味悪かった。
背後に集っていた男たちを引き連れて、
持っていたのは物騒な鉄パイプ。
「い、いおっ」
「ひよこのお嬢ちゃん、ちょっとこれ持ってろ。」
伊織君から渡されたコンビニ袋を掴んだ。
伊織君が舌なめずりをして自分より背の高い
男を眼力で圧倒した。
「女連れて歩いてるとは呑気なこった。」
真冬だっていうのにタンクトップの
男の腕にはよくドラマで拝見する刺青が
あって緊張が走った。
「女の1人も連れて歩けねぇ~お前に
はさぞ羨ましいだろ~な。」
伊織君、皮肉すぎるぞ!
確かに、あの顔じゃドンマイだ。
ゴリゴリ君みたいなお顔だわ。
髪の毛があって良かったわね!
伊織君のビューティーフェイスとフェロモン
には敵わないだろう。しかし、はっきりと言いすぎだ。
「何だとテメェ!!」
拳を振りかざしてくる男をしゃがんで交わして、
ヒョイっと身軽にこっちに来た。
手に汗を握るような状況下なのにまだへらりと
笑ってる伊織君を見るとこっちまでイラっとしそうだった。
「・・・・い、伊織君っ!」
そうこうしてる内に怒りのボルテージが上がった、
男が顔を赤くして拳に力を加える。
ひっ、怒らせてる場合か!
い、伊織君の考えなし!
あたしは高く評価しすぎていたぞ。
もうちょっと、脳が使えるやかましい魔法使い
だと思っていたのにただのお馬鹿さんでは金髪
ライオン同様ではないか!!

